広木克行先生の学習会に参加して(平成27年4月11日)

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子どものシグナルが見えますかー佐世保事件から不登校を考えるーと言うタイトルで広木先生から話がありました。
 広木先生は、長らく長崎総合大学の学長として、長崎で不登校に関わって仕事をしてきました。長崎は教育では落ち着いた県で、2003年には、不登校の少ない県として全国1位でした。長崎では高校の序列がなく、家の近くの高校に行けるという総合選抜制度をとっていました。ところが同じ2003年に県は選抜制度を単独選抜制度に変更しました。それが今までなかった高校の序列化を進め、より上の高校へという受験競争を生み出すことになりました。5年後の2008年には不登校が1.5倍に増え、いじめによる自殺が多い県になっってしまいました。そして、中1の子が駐車場から子どもを突き落とすという事件がおきました。最近、また、高校のS少女が同級生を殺してしまう事件が起きました。佐世保事件です。その背景に何があったのか広木先生は独自で検証しました。S少女は地元で有名な弁護士の父と、東大を卒業して地元で教育委員をしている母の元で育てられました。小学校高学年の時、異物混入を繰り返し事件になったのですが、全国版に載ることはなかったようです。事件後、両親は娘を学校に行かせず長期欠席させました。それは不登校と報道されました(不登校ではな親が行かせなかっただけなのですが)。家庭では、「女の子はいらなかったのに」「東大へ行くのは当たり前勉強しなくては」という中で育ちました。S少女は親に愛されるためにはと、自分のことを「ぼく」と呼び、勉強ではいつもトップでした。本当の自分とは別のキャラを演じていたのです。そして、寝ている父親をバット殴って殺そうとすることになります。父親はもう一緒に住めないと思い、娘をマンションで一人暮らしさせることしたのです。そして、同級生を殺すという事件を起こしてしまうことになるのです。その原因は子ども、障害、家庭学校に責任があるという報告でおしまいになります。そうではなく教育制度まで視野を広げ、その背景を検証していく必要がある、教育の仕組みに問題があるととらえ検証していかなくてはと思うのです。そうしないと、また、同じ問題が起きるのではと危惧しています。
 今、子どもたちは・・・・・・教育家族のの中で生活しています。勉強していればよいという親の要求の中で子どもは、「どうして勉強するの」「何のため」「他にしたいことあるけど」などなど思い浮かんだとしても
勉強、勉強。勉強で評価され、兄弟の中でも比較され、親の要求、愛され度合いもそれによって決まってくると受け止める子どもたち。学力、点数競争というひとつのものさしで評価されることへの恐怖感、見捨てられ感で不安になる子どもたち。それが、疎外感、自己否定つながるのです。友だち関係にも自信が持てなくてたくさんの友だちの中にいても孤立感をもつ子どもが増えています。大学でも(一人)ボッチ席が増えているそうです。
 そんな中、自分でどうしたらよいか分からなくなり、子どもが親に助けてというのが、不登校です。子どもは学校に行かないことで、外からも内からも、自分は、弱い子、価値のない子、異常な子と苦しんでいます。それでも、学校に行けないのです。どうしたらいいのと親にいっているのです。親が分からなければ、子どもは分からないのです。それでは子どもは救えないと親が気づく必要があります。子どもの弱さや欠点を指摘するのではなく、子どものよさやできることを認めることからはじめることです。「大丈夫だよ。生きているだけでえらいんだよ」「お手伝いしてくれてありがとう。」と親がみとめてくれたり、必要にされているなと思えたりすることで愛されていると安心できるようになったら、必ず本来の自分に立ち戻ることできるのです。その日は必ずきます。・・・・・・などなどお話しがありました。               文責 竹内

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