不登校の子どもを学校に行かせる義務があるのでしょうか?

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 全国的に見ると、子どもが不登校であることを受け入れ始めた保護者に、教育委員会が「親は、子どもを学校に行かせる義務があります。」と、登校させるように催促する場合がまれにあります。
 確かに、学校教育法22条と39条には「保護者の子どもを就学させる義務」が定められています。
 また、学校教育施行令20条で、学校長は子どもが「ひき続き7日間出席せず、その他出席状況が良好でない場合において、出席させないことについて保護者に正当な事由がないと認められるとき」に教育委員会に通知しなければならないとなっています。
 学校教育施設令21条では、教育委員会が保護者に対し、子どもの出席を督促しなければならないとなっています。そして、学校教育法91条では「保護者の就学義務不履行の処罰」について、義務履行の督促を受けても履行しない者は10万円以下の罰金を科すことになっています。
 これらの法律は、子どもの教育を受ける権利が、保護者の怠慢などで損なわれないためにあります。例えば、「家の手伝いをさせるために学校へ行かせない」「子どもを虐待して学校へ行かせない」などが考えられます。つまり、子どもが学校へ行きたいのに、また、行くことができるのに、保護者が行かせないようにする場合に適用します。子どもが教育を受ける権利を守るための法律です。虐待が社会問題化している時、こうした法律で子どもを守ることは大切でしょう。
 ところが、不登校への誤解や無理解から、学校からの報告を鵜呑みにして、教育委員会が出席の督促をしたり、学校側が「親は子どもを学校に行かせる義務があります。」と言ったりする事例があるのには驚かされます。
 親は、わが子が不登校となった時は、うろたえ、焦り、悩みます。しかし、それ以上に苦しむわが子を目にして、「学校に行くことが全てではない。」と不登校を受けとめます。学校に行かせることがこの子の最善の利益とはならないことを感じとります。そして、勇気をもって学校に「子どもを休ませます。」と伝えるのです。
 そうした対応が「保護者の就学させる義務」を怠っていることになるのでしょうか?法の目的を考えれば、自ずと答えは出ます。子どもの心と体を守るために学校を休ませることは、学校教育施行令20条でいう「正当な事由」にあたります。ですから、子どもを休ませることは「就学の義務」を怠ったことにはなりません。

                   (星の会 不登校に関するコラム欄よりの引用)
 

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